REDUCE-IT:急性冠症候群におけるイコサペント酸エチル投与
2024年7月
REDUCE-IT(Reduction of Cardiovascular Events with Icosapent Ethyl–Intervention Trial)の事後解析によれば、最近12ヵ月以内に急性冠症候群(ACS)を発症した高リスクのスタチン服用患者へのイコサペント酸エチル投与により、虚血性イベントのリスクが低下し、過度の出血イベントも認められない。
急性冠症候群発症後のイコサペント酸エチル投与:REDUCE-IT試験 Sayah N, Bhatt DL, Miller M, et al.Eur Heart J 2024;45: 1173–76.
試験の要約
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目的 |
最近ACSを発症した患者を対象として、イコサペント酸エチルのベネフィットと安全性を評価する。 |
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研究デザイン |
無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験REDUCE-ITの事後解析。 |
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研究対象集団 |
REDUCE-ITの対象患者は、心血管疾患患者、または糖尿病とその他の1つ以上のリスク因子を有する患者のうち、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値はコントロールされているが、トリグリセリド(TG)値はやや高く、スタチンを服用中の患者8,179例であった。この事後解析では、最近ACSを発症した患者(無作為割り付け前12ヵ月以内の心筋梗塞または不安定狭心症の発症と定義)840例(年齢中央値59.5歳、男性76.9%、糖尿病36.9%)が対象とされた。ほぼすべての患者(99.9%)がスタチン治療を受けており、805例(95.8%)は抗血小板治療を受けていた。ACS発症から無作為割り付けまでの期間(中央値)は、イコサペント酸エチル群およびプラセボ群で同程度であった(5.5 vs. 5.6ヵ月)。
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主要研究評価項目
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主要評価項目:REDUCE-ITの有効性の主要評価項目は、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、冠動脈血行再建術、または不安定狭心症による入院からなる複合評価項目であった。主な副次評価項目は、初回心血管死、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中からなる複合評価項目であった。
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方法 |
カプランマイヤー法で初発イベントまでの期間を解析し、ログランク検定により比較した。Cox比例ハザードモデルにより、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。後発イベントまでの期間はWei-Lin-Weissfeldモデルで解析し、治療効果のHRおよび95% CIを推定した。
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結果 |
イコサペント酸エチルの投与により主要評価項目イベントの初発率が37%低下し、主要評価項目イベント全体の発症率は36%低下した(表1)。イコサペント酸エチルによる主要評価項目イベントの初発率の絶対リスク低下は9.3%であった[治療必要患者数(NNT)11、95% CI 7~28]。無作為割り付けの12ヵ月以上前にACSを発症した患者3,651例ではこれほど顕著なイコサペント酸エチルの効果は認められず、相対リスク低下は22.0%(HR 0.78、95% CI 0.68~0.90)、絶対リスク低下は4.7%(NNT 21)であった。
表1. REDUCE-ITのACS患者に認められた主要評価項目イベントに対するイコサペント酸エチルの効果
イコサペント酸エチル (N=433) プラセボ (N=407) ハザード比(95% CI)
初発イベント患者数(%) 81 (18.7) 114 (28.0) 0.63 (0.48–0.84), p 0.002
合計イベント数 153 231 0.64 (0.45–0.90), p=0.01
また、イコサペント酸エチルの投与によって主な副次評価項目イベントの初発率が36%低下し(HR 0.64、95% CI 0.44~0.92、p=0.01)、主な副次評価項目イベントの総数は28%低下した(相対リスク0.72、95% CI 0.47~1.09)。ただし後者の結果は統計的に非有意であった。
最近ACSを発症した患者では、TEAE(治験薬投与後に発現した有害事象)発現率に2群間で差はなかった(イコサペント酸エチル群78.8% vs. プラセボ群76.7%)。総出血イベント率(6.9% vs. 8.1%)および出血関連の重篤な有害事象発現率(1.6% vs. 3.2%)にも群間差はみられなかった。
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著者の結論 |
REDUCE-ITの事後サブグループ解析の結果、イコサペント酸エチルは、最近12ヵ月以内にACSを発症した高リスクのスタチン服用患者における虚血性イベントのリスクを劇的に低減し、過度の出血イベントも発生しないことが確認された。したがって、REDUCE-ITの適格患者では、ACSの発症後速やかにイコサペント酸エチルを開始することが適切である。 |
コメント
ACS発症間もない患者は、イベント再発リスクがきわめて高い。米国のOptum Research Databaseから報告された、指標イベントであるACS入院歴のエビデンスを有する患者(239,234人、男性57.2%、平均年齢69.2歳)の最新データによれば、初発イベントのリスクは5年間で33.4%である。このリスクは退院直後に高く、特に非致死的心筋梗塞および心血管死についてはリスクが高い(1)。この報告と一致するように、REDUCE‑ITのこの解析で示された初発イベントのリスクは、プラセボ群で28%であった。以上の結果から、このきわめて高いリスクを軽減するための効果的な上乗せ治療が必要であることは明らかである。
このREDUCE-ITの最新解析の結果、高用量のイコサペント酸エチルはACS患者における主要心血管イベントの再発リスク低下にきわめて有効であり、最近12ヵ月以内にACSを発症した患者において、それ以前にACSを発症した患者に比べて大きなベネフィットが得られることが示された。さらに、この患者集団では、イコサペント酸エチル投与に伴う過剰な出血リスクや出血関連イベントは認められなかった。事後解析特有の注意点はあるものの、これらの知見から、イベント再発リスクがきわめて高いACS患者集団では、イコサペント酸エチルを早期に開始することがリスク軽減に役立つ可能性があるが示された。また、ACS発症直後でTGが高値の患者を治療することの重要性も裏付けられた。
References
1. Steen DL, Khan I, Andrade K, et al. Event rates and risk factors for recurrent cardiovascular events and mortality in a contemporary post acute coronary syndrome population representing 239 234 patients during 2005 to 2018 in the United States. J Am Heart Assoc 2022;11(9):e022198.
Key words: REDUCE-IT; icosapent ethyl; acute coronary syndrome; residual cardiovascular risk.
