世界的な小児および思春期における肥満の増加に対処するために早急な対応が必要である

2025年4月

最新のGlobal Burden of Disease Study 2021のデータは、小児および思春期における肥満が世界的流行(エピデミック)の状況にあることを示している。将来的な予測によれば、ただちに対策が取られない限り、2050年までに世界の子どもと青少年の約3分の1が体重過多または肥満になると推定される。

出典:GBD 2021 Adolescent BMI Collaborators. Global, regional, and national prevalence of child and adolescent overweight and obesity, 1990–2021, with forecasts to 2050: a forecasting study for the Global Burden of Disease Study 2021. Lancet 2025; 405: 785–812

研究要約

目的

1.Global Burden of Disease Study 2021のデータを用い、1990年から2021年までの世界、地域、国家レベルでの子ども、思春期および若年成人(24歳まで)における肥満・体重過多の有病率の動向について包括的に分析する

2.これらのデータに基づき、2050年までの将来予測を行う

研究デザイン

Global Burden of Disease Studyからのデータを使用した解析 

研究集団

Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study 2021

主要評価項目

体重過多および肥満は体格指数(BMI)により定義した。18〜24歳の青少年においては、BMI 25.0 kg/m²以上30.0 kg/m²未満を体重過多、BMI 30.0 kg/m²以上を肥満と定義した。5〜17歳の子どもおよび青少年の分類はInternational Obesity Task Force基準に基づいた。

方法

モデル作成のための一次データとして、調査データ、報告書および公表された文献から得られた、180カ国・地域の測定値および自己申告による身体計測データ1321件を使用した。

1990年から2021年までの5〜24歳の子ども・青少年の体重過多・肥満有病率(年齢調整済み)を分析した。有病率は5歳ごとの年齢区分(5–9歳、10–14歳、15–19歳、20–24歳)および性別で層別化した。これらのデータを用いて2030年から2050年までの動向を予測した。

主な結果

・2021年の時点で、世界で4億9300万人の若年層が体重過多または肥満であり、5~14歳で18.1%(95%信頼区間 [UI] 17.5–18.7)、15~24歳で20.3%(19.7–21.0)を占め、1990年の2倍に増加した。特に世界の肥満有病率は1990年から2021年にかけて3倍に増加し、2.0%から6.8%となり、2021年には1億7400万人の子どもと青少年が肥満であった。

・肥満有病率の増加は、特に2010年から2021年にかけて北アフリカおよび中東で急速に進み、2021年時点で、これらの地域が世界で最も高い体重過多・肥満有病率となった。

・現在の傾向が継続すれば、2050年までに世界の子どもと青少年の約3分の1に相当する7億4600万人が体重過多または肥満となり、そのうち半数(3億6000万人)は肥満になると予測される。人口増加に伴い、肥満への移行が最も急激に進む地域は北アフリカ、中東、ラテンアメリカ、カリブ地域である。これらの地域は、2050年に世界の肥満児童・青少年人口の3分の1を占める見込みである。

結論

1990年から2021年まで、すべての地域で体重過多および肥満が顕著に増加しており、体重過多・肥満抑制のための現在のアプローチは子どもたちの世代において効果的でなかったことを示している。2021年以降もすべての地域で肥満の増加が続く見込みである。2022年から2030年にかけて特に大きな変化が予測されていることから、この公衆衛生危機に対してただちに行動を起こす必要がある。

コメント

小児および思春期の体重過多と肥満の世界的な流行は、21世紀における最大の公衆衛生上の課題である。Global Burden of Disease Study 2021のデータが示すように、小児肥満は高所得国だけの問題ではなく、低・中所得地域でより深刻であり、北アフリカと中東は有病率が最も高く、東南アジア、東アジア、オセアニアでの増加率が特に高い。このまま推移すれば、2050年には3億6000万人の子ども・青少年が肥満の影響下に置かれ、低・中所得国がその負担の大半を負うことになるだろう。

個人やその家族への影響だけでなく、この若年層における肥満の社会経済的影響は重大であり、2030年までに年間3兆米ドルを超える社会・医療コストが予測されている。さらに、子ども時代の体重過多・肥満は成人後も持続しやすく、成人期においてより早期に有害な健康転帰が生じるリスクを高めるため、社会的負担が一層大きくなる。

肥満は予防可能な健康リスクの筆頭であるため、これらの予測に対抗するための緊急かつ即時の行動が不可欠である。小児および青少年における肥満の国家レベルでの監視とともに、食生活やライフスタイルを劇的かつ集中的に改善する取り組みが求められる。低・中所得地域においては、持続可能性のために公的医療の現実に即した対策が必要となる。あらゆる関係者が積極的に関与し、変革をもたらすための取り組みが求められる。

参考文献

  1. Okunogbe et al. Economic impacts of overweight and obesity.  2nd Edition with Estimates for 161 Countries. World Obesity Federation, 2022. 
  2. Simmonds M, Llewellyn A, Owen CG, Woolacott. Predicting adult obesity from childhood obesity: a systematic review and meta-analysis. Obes Rev 2016;17:95-107. 
  3. Baker JL, Olsen LW, Sørensen TI.  Childhood body-mass index and the risk of coronary heart disease in adulthood. N Engl J Med 2007;357:2329-37. 
  4. Park MH, Falconer C, Viner RM, Kinra S. The impact of childhood obesity on morbidity and mortality in adulthood: a systematic review. Obes Rev 2012;13:985-1000.