PROMINENT試験についての深い洞察

2024年5月

Copenhagen General Population Study Groupの解析によると、ペマフィブラートのPROMINENT試験における中立的な結果はレムナントコレステロール、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)およびアポリポ蛋白(apoBの絶対質量変化量によって説明できる。

Doi T, Langsted A, Nordestgaard BG. PROMINENT試験の結果はレムナントコレステロール、LDLコレステロールおよびapoBの絶対質量変化量によって説明可能。Atherosclerosis 2024;393:117556

試験の要約

目的

PROMINENT試験の対象集団を模倣するためにCopenhagen General Population Studyを用い、PROMINENTPemafibrate to Reduce Cardiovascular OutcoMes by Reducing Triglycerides IN patiENts With diabeTes)試験の結果はレムナントコレステロール、LDL-CおよびapoBの絶対質量変化量によって説明できるという仮説を検証する。

研究デザイン

Copenhagen General Population StudyCGPS)は前向きコホート研究であり、Danish Civil Registration Systemから無作為に抽出した20歳以上の成人を対象とした(被験者登録期間20032015年)。

研究対象集団

PROMINENT試験の主な選択基準を用い、すべての脂質特性に関する完全なベースライン情報を有する適格な被験者108,431例から解析コホートを選択した。

主要研究評価項目

主要評価項目:PROMINENT試験の複合的な主要評価項目(心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中および冠動脈血行再建術)

主な副次評価項目:総コレステロール、LDL-CapoB、トリグリセリド(TG)およびレムナントコレステロール[総コレステロール-LDL-C-高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)として算出]等の脂質特性の絶対変化量および変化率。TG354 mg/dL4.0 mmol/L)未満の場合はLDL-Cの算出にFriedewald式を用いた。

方法

CGPSの糖尿病を有する被験者のうち、試験登録時にスタチン療法を受け、(i)アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する18歳以上の被験者、(iiASCVDの既往歴のない50歳以上の男性、または(iiiASCVDの既往歴のない55歳以上の女性を解析対象とした。治療歴のない患者と治療歴のある患者を対象とした試験デザインを模倣するため、解析対象にはそれぞれTG(またはレムナントコレステロール)高値および低値の両患者が必要であり、血漿TG200 mg/dL2.26 mmol/L)未満または499 mg/dL5.63 mmol/L)超の被験者を除外しなかった。感度分析は、CGPSの全被験者のうち、血漿TG値が200499 mg/dL2.265.63 mmol/L)の被験者のみを対象とした。このPROMINENT試験対象を模倣したCGPSコホートにおいて、ASCVDリスクが、CGPSで観察されたレムナントコレステロール、LDL-CおよびapoBの絶対質量変化量によって説明できるかを評価した。これらのASCVDリスクの推定変化量をPROMINENT試験で観察された対応する変化量と比較した。

結果

CGPSの被験者2,487例がPROMINENT試験の主な選択基準を満たした(PROMINENT試験模倣CGPSコホート)。PROMINENT試験およびPROMINENT試験模倣CGPSコホートのベースライン特性を1に要約する。

1. ベースライン特性(PROMINENT試験 vs. PROMINENT試験模倣CGPSコホート)

PROMINENT試験

n=10,497

PROMINENT模倣CGPSコホート

n=2,487

平均年齢、歳

64

68

女性の割合、%

28%

39%

体格指数、g/m2

32 (29–36)

29 (26–32)

ASCVD既往歴、%

67%

22%

糖尿病、%

100%

100%

スタチン使用、%

96%

100%

追跡調査期間中央値、年

3.4

7.2

レムナントコレステロール(算出値)、mg/dL

47 (38–60)

31 (21–44)

LDL-Cmg/dL

79 (60–104)

75 (60–93)

Non-HDL-Cmg/dL

128 (106–159)

109 (89–131)

ApoBmg/dL

90 (75–108)

89 (73–110)

TGmg/dL

273 (227–342)

159 (108–230

追跡調査期間中のASCVD

件数

1,132

504

/1,000・年

32

28

略語:apo:アポリポ蛋白、ASCVD:アテローム性動脈硬化性心血管疾患、HDL-C:高比重リポ蛋白コレステロール、LDL-C:低比重リポ蛋白コレステロール、TG:トリグリセリド

PROMINENT試験において、ペマフィブラートの投与による変化量はレムナントコレステロールが-7 mg/dL(-0.18 mmol/L、-18%)、LDL-Cが+10 mg/dL(+0.26 mmol/L、+12%)、apoBが+5 mg/dL(+0.05 g/L、+5%)であった。PROMINENT試験模倣CGPSコホートにおける脂質変化量ごとのASCVDリスクを、各脂質および複数の脂質の併合について、2に要約する。レムナントコレステロール、LDL-CおよびapoBの絶対質量変化量を併合した場合、ASCVDの推定ハザード比は、PROMINENT試験模倣CGPSコホートで1.050.961.14)、PROMINENT試験で1.030.911.15)であった。

2. PROMINENT試験の脂質変化量とPROMINENT試験模倣CGPSコホートにおける対応するASCVDリスク

PROMINENT試験の脂質変化量

PROMINENT試験模倣CGPSコホートにおけるハザード比(95% CI

レムナントコレステロール:-7 mg/dL(-0.18 mmol/L

0.97 (0.94-0.99)

LDL-C:+10 mg/dL(+0.26 mmol/L

1.04 (1.01-1.07)

non-HDL-C:+3 mg/dL(+0.08 mmol/L

1.01 (1.00-1.02)

apoB:+5 mg/dL(+0.05 g/L

1.02 (1.01-1.03)

レムナントコレステロール+LDL-CapoBの絶対質量変化量

1.05 (0.96–1.14)

non-HDL-CapoBの絶対変化量

1.02 (1.00–1.03).

著者の結論

レムナントコレステロール、LDL-CおよびapoBの絶対質量変化量によってPROMINENT試験の結果を説明できる。アテローム促進性コレステロール全体が3 mg/dL0.08 mmol/L)高く、apoB5 mg/dL0.05 g/L)高いことで、ペマフィブラート群でASCVDが多い傾向を説明できると思われる。したがって、これらの結果から、ASCVDを抑制するには、TGおよびレムナントコレステロールを低下させる薬剤により、アテローム促進性コレステロール全体(LDL-Cおよびレムナントコレステロール)とアテローム促進性リポ蛋白全体(apoBが指標)を減少させる必要があることが示唆される。

コメント

根拠が十分に示されているにもかかわらず(1)、PROMINENT試験の結果は依然として中立的なものであり、主要評価項目である4項目の主要有害心血管イベント(MACE)に対するペマフィブラートの効果は認められなかった(2)。この理由については多く議論されている。今回の最新の報告では、レムナントコレステロール、LDL-CおよびapoBの絶対質量変化量でこれらの結果を説明可能であることが示唆されている。すなわち、アテローム促進性コレステロール全体が3 mg/dL0.08 mmol/L)高く、apoB5 mg/dL0.05 g/L)高いことにより、ペマフィブラート群でMACEが多い傾向を説明できることが示唆された。本研究の研究者らは、アテローム性動脈硬化プラークの大きさを決める主要因子は動脈内膜に沈着するコレステロールの総質量であり、質量としてのコレステロール含有量の方が(脂質の変化率または絶対変化量よりも)重要である可能性を提示している。本研究結果を強固なものとする要因として、PROMINENT試験の主な選択基準を満たすCGPSの被験者が多数いること、脂質値とASCVDに関する既知の潜在的交絡因子が考慮されていること、追跡不能例がいないことが挙げられる。また、CGPSは、他の臨床試験には参加していない一般集団から被験者を組み入れており、選択バイアスが最小限に抑えられている。

本解析は、高トリグリセリド血症患者の残存心血管リスクを低減するにはLDL-Cとレムナントコレステロールのどちらがより重要かという疑問に取り組むうえで、臨床的に意味のあるものである。今回の結果から、コレステロール低下薬はLDL-Cとレムナントコレステロールの両者、またapoBを含むアテローム促進性リポ蛋白の総数を減少させることを目的とすべきことが示唆される。

References

1. Pradhan AD, Paynter NP, Everett BM, et al. Rationale and design of the Pemafibrate to Reduce Cardiovascular Outcomes by Reducing Triglycerides in Patients with Diabetes (PROMINENT) study. Am Heart J 2018;206:80-93.

2. Das Pradhan A, Glynn RJ, Fruchart JC, et al. Triglyceride lowering with pemafibrate to reduce cardiovascular risk. N Engl J Med 2022;387:1923-34.

Key words: PROMINENT; pemafibrate; Copenhagen General Population Study; total atherogenic cholesterol; total atherogenic lipoprotein particles