PROMINENT試験からの知見:ペマフィブラートは2型糖尿病患者の潰瘍または壊疽のリスクを低減する

2024年9月

POMINENT試験の結果、ペマフィブラートにより2型糖尿病患者における下肢の虚血性潰瘍および壊疽が減少する可能性が示唆された。

Marinho LL, Everett BM, Aday AW, et al. 糖尿病性足潰瘍および壊疽に対するペマフィブラートの効果。PROMINENT試験の探索的解析。 J Am Coll Cardiol 2024;84:408-410.

試験の要約

目的

Pemafibrate to Reduce Cardiovascular Outcomes by Reducing Triglycerides in Participants with DiabetesPROMINENT)試験の前向きデータを用いて、下肢の虚血性潰瘍または壊疽と判定されたアウトカムに対するペマフィブラートの効果を評価する。

研究デザイン

無作為化、二重盲検、プラセボ対照PROMINENT試験の二次解析。

研究対象集団

PROMINENT試験では、2型糖尿病(T2DM)、軽度~中等度の高トリグリセリド血症(トリグリセリド値200499 mg/dL)、高比重リポ蛋白コレステロール低値(40 mg/dL以下)、およびガイドラインに基づく脂質低下療法(約3分の2が高強度スタチン療法)により低比重リポ蛋白コレステロール値がコントロールされている患者10,479例が対象とされた。全体で、患者の15%がベースライン時に末梢動脈疾患(PAD)の既往を有していた。

主要研究評価項目

主要評価項目:本解析の主要有効性評価項目は、医師が判定した下肢の虚血性潰瘍または壊疽の発症であり、これは診断検査に基づく閉塞性PADの新規発症または悪化と定義された。PADの新規発症または悪化を伴わない潰瘍や壊疽は解析に含まれなかった。PADの新規発症または悪化は、間欠性跛行、安静時疼痛、下肢虚血性潰瘍、下肢の血行再建術または大切断術の既往のいずれかが認められ、かつ足関節上腕血圧比0.9以下または他の検査によるPADの診断と定義された。

方法

報告されたイベントはすべて、試験の評価項目審査委員会が最初に検討し、PADの新規発症または悪化の有無を判定した。さらに、PADの専門知識を有する独立した循環器専門医2名が二次判定を実施し、来院時に潰瘍の場所および壊疽の有無などの補足情報を収集した。データの解析はintention-to-treatに基づいて実施し、カプランマイヤー曲線および未調整のログランクP値により、無作為割り付けした投与群間における初発の潰瘍または壊疽の累積発生率を比較した。2投与群で初発の潰瘍または壊疽が確認されるまでの時間は、性別、心血管疾患の既往、およびベースライン時のスタチン治療により層別化したCox比例ハザードモデルにより解析した。また、初発の潰瘍または初発の壊疽について、別々にデータを解析した。

結果

PROMINENT試験の追跡調査期間中央値は3.3年(四分位範囲2.54.0年)であった。ペマフィブラートの投与は主要複合評価項目のリスク低下と関連し、その相対低下率は37%であった(1)。複合評価項目の各要素について解析したところ、ペマフィブラートは統計学的に有意な壊疽リスク低下(ハザード比0.4795%信頼区間[CI0.25-0.87p0.01)と関連していただけでなく、潰瘍発生率の一方向的低下(n62、ハザード比0.6895% CI 0.41-1.12p0.13)も認められた。

1. PROMINENT試験で観察された下肢の虚血性潰瘍または壊疽に対するペマフィブラートの効果

ペマフィブラート

プラセボ

ハザード比(95% CI

イベント数

35

56

発生率(1000・年あたり)

2.1

3.4

0.63 (0.41–0.95)

p=0.03

著者の結論

ガイドラインに基づく脂質低下療法を受けているT2DM、軽度~中等度の高トリグリセリド血症、高比重リポ蛋白コレステロール低値の患者において、ペマフィブラートは下肢の虚血性潰瘍または壊疽のリスクを有意に低下させた。これは、下肢の虚血性潰瘍または壊疽の発症リスクの高い患者を対象として、さらに前向きに検討する価値のある結果である。

コメント

PADおよび高血糖は足潰瘍の主要な促進因子である。糖尿病患者の2030%PADを合併していると推定されているが、高齢患者ではさらに合併率が高いと考えられる(1)。外傷以外の原因による下肢の大切断は、罹患歴が長いまたはコントロール不良の糖尿病患者や末期PAD患者の合併症に対して行われる処置であるが、患者およびその介護者に大きな負担をかける。1990年代から2000年代にかけて下肢切断の件数は減少しているが、ここ10年間は横ばいか上昇傾向にあり、医療制度にとって大きな課題となっている(2)。この動向は、糖尿病性下肢疾患に関連する重度合併症の新しい予防薬の臨床ニーズが満たされていないことを浮き彫りにしている。

このPROMINENT試験の最新の解析結果は、ペマフィブラート治療の可能性を示唆するものである。この報告で、ペマフィブラート治療は切断前に多くみられる下肢の虚血性潰瘍または壊疽の相対リスクを37%低下させた。この結果はFenofibrate Intervention and Event Lowering DiabetesFIELD)試験のデータとも一致する。FIELD試験では、比較的弱いペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α作動薬であるフェノフィブラートを2型糖尿病患者に投与し、小切断発生率が低下した(3)。著者らは、PROMINENT試験から重度PAD患者を除外したこと、進行性神経障害、感染症の併発、足部の変形、足専門治療や予防的血管インターベンションへのアクセス性など増悪因子に関するデータが不足していたことをデータの限界に挙げているが、ペマフィブラートによる治療効果の高さは、今後も研究を続ける根拠となる。

References

1. Barnes JA, Eid MA, Creager MA, et al. Epidemiology and risk of amputation in patients with diabetes mellitus and peripheral artery disease. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2020;40:1808–17.

2. McDermott KM, Srinivas T, Abularrage CJ. Multidisciplinary approach to decreasing major amputation, improving outcomes, and mitigating disparities in diabetic foot and vascular disease. Semin Vasc Surg 2023;36:114-21.

3. Rajamani K, Colman PG, Li LP, et al. Effect of fenofibrate on amputation events in people with type 2 diabetes mellitus (FIELD study): a prespecified analysis of a randomised controlled trial. Lancet 2009;373:1780-8.

Key words:  PROMINENT trial; pemafibrate; peripheral artery disease; ulcer; gangrene.